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【昆虫食】TAKE-NOKOがすごすぎて申し訳なくなった

「昆虫食」と聞いて、皆さんはどんなことを思い浮かべますか。

言わなくても大丈夫です。わかります。

「さすがに気持ち悪いって」
「虫は好きやけど食べるとなると話は別よ」
「意外と美味しいわ」

おそらく、多くの人はこんなところではないでしょうか。

僕もだいたいそんな捉え方でした。
でもそんな先入観をぶち壊された場所があります。

『TAKE-NOKO』という昆虫食のお店です。

この記事は、TAKE-NOKOで食べられる料理の一部を紹介しつつ、それと一緒に僕のTAKE-NOKOでの思い出と昆虫食の捉え方の変化を書いたものです。

調理された虫の写真がたくさん出てくるので、苦手な方は画面の写真部分を手で隠しながら読み進めてください。

カップ麺の待ち時間などに読むのはあまりオススメできません。
6000字弱あるので、麺が伸びてしまう恐れがあります。
分厚めのパスタの茹で待ちくらいがいいと思います。

TAKE-NOKO以前

お店の話に入る前に、TAKE-NOKOに来店するまでの僕の昆虫食の経験について少し書いておきます。

さっさとお店の商品紹介だけ読みたいぜ、という方は、太字のとこだけ見といてもらえれば大丈夫です。

僕が初めて昆虫食を体験したのは高校1年のときでした。
YouTubeで昆虫食に興味をもった友達に誘われて、近くの公園や神社でセミを獲って素揚げにして食べました。

帰宅後この写真を見せたらめっちゃ皿洗わされた

最初は
「さすがに気持ち悪いって」
「虫は好きやけど食べるとなると話は別よ」
という気持ちでかなりビビりながらだったのですが、一回食べてみると
「意外と美味しいわ」
となり、2匹目以降はそんなに抵抗なく食べられました。
(そのへんに関して詳しくはこの記事に書いてあります)

それ以降、高校生活中は似たようなメンバーで毎年夏になると1回セミを食べ、大学生になってからもたまに友達を呼んで虫を食べる会を開催したりしていました。

なんでそんなことをしていたかというと、
「昆虫食が美味しくて大好きだから皆に広めたい!」
とかでは全くなくて。

「意外と不味くはないし、変わったことしてるってことで友達も来てくれるし、たまにやるイベントとしてちょうどいい」
くらいの気持ちでした。

思春期を引きずった大学生だったので「変わってるねー」って言われる気持ち良さも少なからずあったし。

「昆虫食が好きというよりは、昆虫食をしてる自分が好き」みたいな感じだったと思います。

前置きが長くなりましたが、そんなイキり昆虫食オタクの僕をぶん殴ったのがTAKE-NOKOの料理でした。

インパクトと味の両立

本当はもう半分タガメが乗ってたのだが、写真を撮る前に食べてしまった

これはTAKE-NOKOの看板商品『めっちゃタガメサイダー』です。

まず最初に目を引くのがタガメのデカさと「タガメそのままだ!!」というグロさを伴ったインパクト

最初に載せたセミの写真を見てもらうとわかるんですが、あれは揚げる前に下茹でしたセミの脚や羽を千切ってしまうので、一瞬セミってわかりにくかったりします。

それに比べてこのタガメの存在感は、イキり昆虫食オタクとしては、虫を食べてる感じがあってとてもテンションの上がる見た目でした。
恥ずかしいから載せないけど、タガメを咥えた写真とか撮ってあった。

しかもこのタガメ、マジでめちゃくちゃ美味しいんですよ。

タガメはアメンボやカメムシと同じ分類の昆虫で、もともと匂いがついてるらしく。
しかもその匂いが甘い果物の香りで(僕はハイチュウの青りんご味の香りが一番近いと思っている)、シロップ漬けしただけなのに甘いソースをかけた鶏肉みたいな美味しさだなと感じました。

公式ホームページより

タガメの生態に似せたレモングラスやタピオカの遊び心も最高です。


このこおろぎの乾燥のさせ方がおいしくてずっと気になっている

『こおろぎアイスモナカ -しょうゆ味-』も初めて行ったときに食べた、見た目と味の両立が最高だった料理のひとつ。


これまで食べたセミやバッタは「おつまみとしてはまぁ全然いけるね」って感じだったんですが、「虫って普通に美味いのか!」と衝撃を受けました。

TAKE-NOKO初入店時の記憶はそんな感じでした。

そこから定期的に、料理が食べたくてTAKE-NOKOに通うようになり、その中で新しいメニューも増えていきました。

そのうちのひとつ、次に紹介する料理によって、僕は今日を含めたこれまでの自分の「イキり昆虫オタクっぽさ」を恥ずかしく思うことになります。

虫の必然性

これはTAKE-NOKOでの体験としては一番思い出深い、『山梨かいこの濃厚トマトクリームパスタ ※二本松こおろぎのサラダ付き』です。


少し余談なのですが、僕はこれまで、中華料理やベトナム料理のお店で何回か、かいこを食べたことがありました。

正直、そこで食べたかいこはあんまり美味しく感じなかった。

かいこは、分厚い皮にクリーミーな淡白質が詰まってる感じの虫です。

かいこを揚げて辛めのスパイスをかけた料理だったのですが、その皮がかなり分厚くブニブニしてて、噛んでるうちにスパイスもどこかに消えて、皮の食感と味の薄いクリームだけが残る
・・・みたいな印象でした。


不安だったので、注文するときに店長の三浦みち子さんにその話をしてみたところ、かいこは確かに人を選ぶかも・・・という前置きの上で、

「おそらくそのお店のかいこは海外産のものを使ってるんだと思います。
ウチのは国産で小さいので皮もあんまり気にならないかと・・・」

と言われ、産地までこだわってる安心感でそのまま注文しました。

ちなみに、かいこはエビにもできるそうです。
「初心者にもやさしい」と笑ったのですが、いま振り返ると別の意図もあったような気もします(これについては次の章でも触れます)。


で、実際に食べた感想なんですが、本当に言われた通りでした。

皮も全然邪魔じゃなかったし、それどころかプチプチした食感もおいしかった。

何より、かいこのクリーミーな味がトマトソースと合っていてめちゃくちゃ美味しかった


美味しさに感動しつつ、ある程度食べ進めて、お店を眺めていると気づいたことがありました。

その時期、新メニューとして僕が食べたのも含めてパスタが3種類出てました。

そのメニューがこれ。


・京都こおろぎのペペロンチーノ ※二本松こおろぎのサラダ付き

・山梨かいこの濃厚トマトクリームパスタ ※二本松こおろぎのサラダ付き

・広島こおろぎのイカスミパスタ ※ベーコンのペペロンチーノ


最初に見たときは「たくさん増えててうれしいなー」くらいの気持ちだったのですが、今見返してみると、「この中で、かいこが一番合うのはトマトクリームパスタだよな・・・」と素朴に思いました。

そこで思い出したんですが、
お店に入って料理を選ぶタイミングで、店長さんが「こおろぎも産地や与えるエサによって少しずつ味が違うんですよー」と、
いくつかの種類のこおろぎを食べ比べさせてくれていました。
(気になった方は『国産こおろぎ食べ比べ』というメニューで食べられます)

その日は一緒に来ていた友達が『京都こおろぎのペペロンチーノ』を食べていたので、それを一口もらい、残っていた『二本松こおろぎのサラダ』を食べ、いまさらに
「これ全部、昆虫に合わせて料理つくってるな・・・」
と気づかされました。

『山梨かいこの濃厚トマトクリームパスタ』は、
トマトクリームパスタにかいこをトッピングしたものなんかじゃなく、
かいこを活かす料理として考え出されたパスタであって、
他の料理に対しても同じことが言えたわけです。


タイトルの「申し訳なくなった」とか、前の章の「恥ずかしくなった」というのはこのときの感情です。

食材に合わせて料理を作るって、当たり前といえば当たり前じゃないですか。
でもどういうわけか、僕は昆虫食に対してその前提を持っていませんでした。

要は、料理として昆虫食をナメてたわけです。

イキり昆虫食オタクくんさぁ・・・
これまで虫を食べて「食える」とか「普通に美味しい」とか言ってたけど・・・
こっちはそんなん分かりきった上で、どこまで虫を活かして美味しくできるか考えてんだよ!!

と、脳内のギャルに怒られた気持ちになりました。

さらば、イキり昆虫食オタクの僕よ。
これからは1人の昆虫食好きとして生きていこう・・・

引き算の極地

最後に、TAKE-NOKOの最新メニューである『まゆ刺し』を紹介します。

居酒屋で撮った写真じゃないんですよ

・・・言われなかったら「昆虫食」とも思わなくないですか?

これは、かいこの繭を茹でて、醤油とわさびでいただくというめちゃくちゃシンプルな料理です。

シンプルですが、このメニューにはいくつもの工夫と意図が込められていると想像します。


そもそも、そのへんのかいこを捕まえて育てて繭を茹でても、同じものになりません。

かいこと言えば、繭から糸を紡ぐことができるイメージがあると思います。

TAKE-NOKOで使われているかいこは、その糸を作るために養蚕されている多くの種類とは別物で、だからこそこの料理ができたわけです。
(しかもこの種類のかいこを育てている場所はほぼないらしく、この値段で提供できるのはタイミング含めてラッキーだったとのことでした)

同じ種の虫であっても、育て方や種類によって食材として別物になるという考えが前提にあってこそできたことだと思います。


また、(この箇所は特に僕の主観によって書きますが)このメニューはTAKE-NOKOにとっても挑戦的なコンセプトで作られたのではないかと想像します。

これまでのTAKE-NOKOの料理からは、「昆虫の見た目のインパクトを与えつつ、既存の料理と組み合わせる」という意図を感じます。

この記事に登場した写真を手で隠さずに読んできてくれた方なら、この「昆虫をなるべくそのまま使ってやろう」という意志には共感してもらえると思います。


一方で、僕は「昆虫はあくまで食材だ」というメッセージも感じます。

ここでパスタメニューの一覧の画像を出します。

当時の土日限定メニュー

前の章で少し書いたように、料理名の下に、昆虫を別の食材にできることが当たり前のように示してあります。

で、考えてみてほしいんですが、昆虫食専門のお店がわざわざそんなことしなくてよくないですか?

客側の気持ちはどうあれ、虫を食べるためのお店ってことはわかって来てるわけじゃないですか。

もちろん、虫が苦手だけど友達の付き添いで来た、という人や、来店後に「やっぱ無理かも・・・」となった人のための配慮でもあるとは思います。

だとしても丁寧に、「ペペロンチーノに使うこおろぎはベーコンに」「トマトクリームパスタに使うかいこはエビに」って、わざわざ料理に合わせて代替用の食材を2種類も用意することなくない?

どっちもベーコンかエビに統一したらいいじゃないですか。

僕は、ここにTAKE-NOKOの、「ウチはそもそも料理を出す店で、食材の良さを最大限引き出す使い方をしてるんだぜ」というメッセージが込められているのではないかと思います。

「ペペロンチーノに使う食材としてベーコンも美味しいし、京都こおろぎも合うよね」
というように、食材の選択肢のひとつとして昆虫がある、という見せ方へのこだわりがあるのではないでしょうか。

その前提に立って再度『まゆ刺し』を見てみると、他のメニューよりも昆虫の要素が強調することなく使われており、食材としての印象が際立っているように感じます。

念のために書いておくんですが、この料理はかいこの種類を厳選して、貴重なルートから入手して、それをそのまま調味料とだけ合わせて提供しているわけで、このまゆは圧倒的な主役なわけです。

僕がメニューとして出すなら
『厳選!〇〇かいこの稀少まゆのお造り(よく味わっておたのしみください)』
みたいな名前にして、
皿もかいこの主食の葉っぱとか乗せておいて、
かいこの存在を最大限アピールしたくなるところです。

でもそういった演出を全部削ぎ落として、かいこのまゆをほぼそのまま使いながら、名前も限りなくシンプルに、刺身の一種として料理にしている。

かっこよすぎないですか?

『まゆ刺し』は、当たり前のように食卓に並ぶ昆虫食としての究極系のひとつなのではないかとすら感じます。

あと書き忘れてましたがめちゃくちゃ美味しいです。

これは特にお店で食べてほしい。
多分、昆虫の見た目が苦手な人も抵抗なくいけるのではないかと思います。

TAKE-NOKOの眼差し

独断と偏見による食レポをひとしきり書いたところで、お店自体の紹介をしてまとめとします。

TAKE-NOKOは、これまで紹介してきた料理だけでなく、時期によって限定メニューを伴ったイベントや、壁際のスペースを使った展示もたのしめるお店です。

(以下の内容は期間限定のものなので、お店に行くときは今何をやってるか確認してみてください)


これらは「MG(マダゴキ)総選挙」に行ったときの写真。

ちなみに背後にうつってるのが店長のみち子さん

好きなマダゴキ(マダガスカルゴキブリ)との2ショットや、蟲喰ロトワさん制作の『バッタ仮面』を被っての撮影もできます。

チェキも撮ってもらった(少なくともこの前まではお店の壁に貼ってあったので探してみてね)

そのまま揚げてるように見えて下処理が丁寧なのだ

これは限定メニュー『マダゴキスープカレー』

佐伯さんの展示など、料理だけでなく店全体に、昆虫の捉え方を揺らがすための工夫が溢れています。


最後まで読んでくださってありがとうございました。

今日紹介したメニューは、但し書きが無いものに関しては現在(2022/11/19)もTAKE-NOKOで食べられますので、興味を持ってくださった方はホームページを覗いてみてください。
(平日と土日で食べられるものが変わるので注意!)


記事の冒頭で昆虫食のイメージについて聞きましたが、今はどんな感じでしょうか。
どんな伝わり方になったか不安なのでどこかで教えてください。

もし、僕がTAKE-NOKOで感じたように、少しでも「昆虫は食材としておもしろい」と思ってくれた方がいれば、とてもうれしく思います。

期間限定のお土産もあるよ

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秋野ひろ
僕が有名になった後「秋野ひろは俺/私が育てた」と公言できるようになります。

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