【日記】マジックはすげぇ
物語に対する称賛として「期待を超えた」「予想を裏切られた」という言葉が使われたりする。
どちらも物語の中で感じた、気持ちのいい驚きに対する感想なのだと思う。
つまり面白いマンガを描くために、
どうやったら人を驚かせられるのか?
を考えるのはめちゃくちゃ大事なことなのだ。
先日、縁あってマジシャンのみのりさんという方とお話をさせてもらった。
マジシャンは早い話、驚かせのプロだ。
これは驚きの楽しさを実感させてもらうしかないわということで、諸々のやるべきことを一旦保留にして、みのりさんのマジックショーを見せてもらいに行った。
結論から言うとマジックはマジですごかった。
マンガをTwitterに投稿しているので興味のある方は見てほしい。欲を言えばいいねとRTも宜しくお願いします。
ここでは、マジックを見るまでにも小さな驚きがたくさんあったので、そのことについての日記を書いて、最後にこれからそれをマンガにどう落とし込むかの意気込みをまとめようと思う。
マジで僕が世間知らずなだけで、「いや別にそんなもんよ?」と思う人も多いかもしれないが。
恵比寿困惑日記
場所は『AOYUZU』というレストラン。
駅を出てすぐのお店で、ビルの地下に広々としたスペースがある。
めちゃくちゃおしゃれなお店で、暗めの照明と無駄がない装飾が「なんか都会っぽいなー」と思った。
席についてすぐ、小さな驚きがあった。
店員さんからジッパー付きの袋を渡されたのだ。
なんだこれはと思っていると「よければマスク入れにお使いください」とのことだった。
「はぁ〜んなるほどねたしかにマスクの置き方によっちゃ一緒に来た人の顰蹙を買うこともあるけどこういう袋があったらリスク下がるもんねさすが恵比寿のレストラン配慮が行き届いてらぁ」
驚きと感心とが混ざった気持ちで「たしかにおしゃれな人ばっかりだもんなぁ」と周囲を見渡したところから、さらに驚きが連続していった。
店内にいる客は僕の他に20人ほどいたのだが、その全員が、ジャケットを羽織っていた。
念を押して言うがマジでその全員が。
僕はその店の中で唯一パーカーに幅の広いジーンズというユルユルの格好だったので、「これドレスコード的にダメなのか・・・?」と焦った。
焦りの気持ちからさらに他のお客さんを見ていると、男女の割合が完全に1:1になっていることに気づく。
要は男女1:1のカップルか、男女比の同じ集団(しかも男サイドと女サイドが向き合うように座っている)しかいなかったのだ。
さらにはその全員が、髪のキューティクルがすごすぎて照明以上の輝きを放つ女性か、首が痛くなるくらい見上げないと目が合わないような男性だった。
念を押して言うがマジで、マジでその全員が。
僕はその店唯一のパーカーでもあり単独男でもあり、身長160センチ台の男だったのだ。
そんなこと?と思うかもしれないし僕も人から聞いたらそう思うかもしれないが、よく知らんおしゃれな場所で周りと全然違うというのは、思ったよりもソワソワする。
そそくさと飲み物と料理を頼み、届くまで小さな喫煙室で過ごすことにした。
中にはもう一人男性がいて、僕がタバコを吸い始めると「それ吸ってる人久しぶりに見ましたよ〜」と声をかけてくれた。
僕は首が痛くなるくらい顔を上げながら
「へへっ。今日はデートで来られたんですか?」と返した(客の男女比は僕を除いて完全に1:1だったからね)。
すると男性は「いや、今日は合コンっすね〜」と笑った。
なんとなくそんな気はしていた。
しかしあまりにドラマとかで見たことある感じの合コンのイメージ像にぴったりハマりすぎていて、また僕の周囲の人たちの雰囲気と違いすぎて、「実在していたのか・・・」という感慨深さがあった。
「お兄さんはデートっすか?」と聞かれ、「あ、いや僕は一人で・・・」と答えた。
「えっ一人!?」と驚かれた。
たしかに僕以外を除いて完全に男女比が1:1の状況とはいえそんなに驚かんでもいいやん・・・煽りなんか?と思い俯いた(首が痛かったのでちょうどよかった)。
・・・が、その人の話を聞いていると、どうやらこのAOYUZUというお店は最初からデートや合コン専用くらいの認識をされているらしかった。
そこでこれまで見落としていた記憶が蘇ったのだが、
そういえば予約するときも「来られるのはお一人でですか?」と言われ、入店時も「お待ち合わせですか?」と聞かれていた。
デートに人気、とかでなく、「デートのための店」という概念がある、というのが僕にとっては新鮮で、世の中は広いなぁという気持ちになった。
というか、僕の生きた世界はあまりに狭いのだなぁと思った。
しかしよく考えるとちょっと行ったことのない店で、しかも料理も目的のマジックを見ない状態でこれだけ楽しめるのだから、ある意味コスパがいいとも言える。
それはそれとして世界を知るぞと思った。
マジックを見る前のハイライトとして、そのあと席に戻ったあとの出来事をマンガにした。
マジックとAOYUZUで感じたこと
驚かせのパワーはマジですごい。
基本的に僕は傲慢なフシがあるので、あらゆるものに対して品定めするようなスタンスで接してしまう癖がある(どうすれば直るのかわからない)のだが、驚きにはそんなくだらない考えを吹き飛ばす力がある。
コンテンツに一髪パンチの効いた驚きがあるだけで、「へぇ、お手並み拝見といきましょうか」⇨「すごぉい!もっと見せて!!」の即落ち2コマが完成してしまうのだ。
この驚きはもちろんマンガの中でどう作り出すかも考える必要があるし、ちょっと別視点でのトレーニングとして、トリック動画を作っていこうと思う。
かなり試行錯誤の「錯誤」要素が強いものも多く出すことになると思うが、見たり感想をいただけるととてもありがたい。欲を言えばいいねとRTもよろしくお願いします。