【定例議事録】自分の褒められポイント

これは、やじまけんじさんと佐渡島さんの、「コッペくんの次の話をどんな内容にするか?」という打ち合わせを見学させてもらって、そこでの気付きをまとめたものです。(2020年8月21日)

「今回どう褒めたらいいのか教えて?」

これは佐渡島さんが、やじまさんの打ち合わせ前に載せたネームを見てまず言った言葉だ。


最初、僕は「褒めるところがない」というフィードバックを遠回しにしているのかと思いなんとなく怖く感じていた。

・・・が、実はこの言葉には、合理的かつ大切な2つの意図が含まれていたことがわかった。


ひとつめの意図は、チームに自分のセールスポイントを知ってもらう、ということ。

やじまさんや僕の所属している「コルクスタジオ」は、全員がお互いの作品を広める仲間で、特に佐渡島さんには作家をいろんなところに紹介していただいている。

そのときに、作家が自分の何に自信をもっているかを知っていることが重要になってくる。

佐渡島さんの「やじまくん自身も、やじまくんを売りこむための仲間なんだから、セールスポイントを教えてよ」という言葉が印象的だった。

また作家視点としても、自分の強みを皆に話して、それを見られている意識を持つことで、それがモチベーションにもつながってくる。

それぞれが自分の強みを伝え合うことで、チームとしても成長していけるとのことだった。


ふたつめは、どのような意図でネームを描いたかという前提を共有することで、自分の必要とするフィードバックをもらいやすくなるということ。

たとえば今回、やじまさんは「打ち合わせの叩き台にしよう」という意図で、まだメインとなるシーンを描いていない途中までを共有していた。

その前提を伝えることで、「メインとなる感情をどのようにしたら盛り上げられるのか」「そのために、ネームで共有した部分がどのように作用したのか」を話し合うことができる。

逆にそれが伝わっていないと、ネームの部分がどのような意図で描かれているのかがわからず、フィードバックの方向性がズレてしまう。

作品をどのように良くしていくかを考えるために、前提が必要となる。


最初は怖く感じた言葉だったが、理由を聞くと、佐渡島さんの作家や作品に対しての思いやりを感じることができた。

・・・

後半は、メインの感情を伝えるための1話の組み立て方の話になった。

話を通して、主人公の感情の変化を描くとき、「プルチックの輪」で考えるというやりかただ。


打ち合わせの中では以下のような順番で整理されていた。

今回のコッペくんは、町の人やお母さんへの双方向の「愛」を感じる話になっている。

だからその感情を引き立てるために、プルチックの輪で遠くに位置している、「後悔」や「悲しみ」「嫌悪」などの感情を前半で描いてみる。

そうすることで感情の振れ幅が大きくなり、クライマックスが引き立つことになる。


話を聞きながら、ホラー作品でも、めちゃくちゃ怖いシーンの前にちょっとしたギャグの場面がよく出てくるなと思い出していた。

あれも「恐怖」の前に「平穏」の感情を挟むことで、感情の幅を出すための演出だったのかと納得した。

僕が有名になった後「秋野ひろは俺/私が育てた」と公言できるようになります。