『惡の華』『ジャガーン』の共通点


ふむさんのこのnoteを読んだ。

一番のミソを引用すると、

まず一話で、揺るぎない信念と自由な行動が示され、そこから先、信念が試されるような出来事が起こり続ける。それが「物語」なのではないか!

という気付きだった。

たしかに!

綺麗に文字でまとめてもらえるとすごい気持ちいい。たしかに、なんとなく「究極の選択」が描かれるマンガは面白いという認識はあったけど、それはこういうことなのかもしれない。

頭が整理されて視点が増えた。

その視点を持って、自分の好きなマンガではどうだろうか?と捉え直すと、

1.『惡の華』と『ジャガーン』の共通して好きな部分がテーマにあると気づいた
2.自分の好きな感情描写の解像度があがった

という個人的2大発見があったので、それを記録しておこうと思う。


まず悪の華とジャガーンの共通点について。

それぞれのあらすじを、Wikipediaから引用して比べてみる。

『惡の華』作:押見修造

クラスの美少女・佐伯奈々子に密かに想いを寄せる春日高男。ある日の放課後、出来心により彼女の体操着を盗んでしまうが、その様子は嫌われ者の女子・仲村佐和に目撃されていた。窮地に陥り、仲村からの無茶な要求に翻弄される中、意外なきっかけから奈々子と付き合うことになり、春日は恋心と背徳の自己矛盾に苛まれる。そんな彼に呼応するかの如く、奈々子も内に秘めた意思を徐々に示すようになる。

『ジャガーン』原作:金城宗幸 漫画:にしだけんすけ

舞羽市にて突如として空から大量のカエルが降ってくる。そのカエルはキチガエルと呼ばれ、寄生した人間を欲望のままに暴れ回る異形の存在・壊人へと変貌させる。交番勤務で平凡な日常を送る主人公・蛇ヶ崎晋太郎は騒動に巻き込まれ、自身も半壊人となり戦いに身を投じていく。

要するに、この二つの作品は設定も世界観も全然違う。

だけどふむさんの定義した「物語」の視点で見ると大きな共通点が見つかった。

この2作は、どちらも「第一話で主人公の”退屈な日常から逃れたい”という強い欲求が示され、そこから先、”本当に日常を壊せるのか”を試され続ける物語」と言えるのではないか。

僕は今までなんとなくこの2作は「自分の欲望に向き合う姿勢が実直でいいなぁ」、くらいの解像度で好きだと思っていだのだが、こうまとめてみてしっくりきた。

僕は主人公たちの、いざ日常が壊れそうになった瞬間の葛藤が好きだった。

そしてこの「好き」を言語化できたことで、なぜ僕がこういう葛藤に共感できるのかもわかった。

僕も、思想としては、澁澤龍彦のいう「快楽主義者」や寺山修司の「一点豪華主義」に憧れていながら、実際の行動としては無難な選択をしてしまう自分のことが嫌いだった。

『惡の華』も『ジャガーン』も、僕にとって自己嫌悪を代弁してくれる作品だったと気づいた。


こう捉え直したことで、これらの作品が僕にとってさらに大切なものになった。

見方が増えたことで好き度がこんなに深まるのかという感動があった。


めちゃくちゃうれしい。

僕もこの自己嫌悪をテーマにした作品を描きたいなと強く思った。

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