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見返したい(復讐の意でなく)作品たち

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気に入った他の方の作品を見返すためのもの
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記事一覧

感覚派ヒューマニストの世界

感覚派ヒューマニストの世界

インターネットによって席巻したポリティカル・コレクトネス的な善は、私たちが潜在的に持っていた性善説的な願望を打ち砕いた。ハラスメント、差別、偏見、ジェンダーバイアスといった議論が旧い世代にある種の衝撃と分断をもたらしたのは、これらが内包している「悪への無自覚」という視点のためである。これまで悪とはヒーロショー的な二元論によって管理されるもの―――つまり「悪人が・悪意を持って」なす所業とみなされ、「

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「よかれと思って」のメカニズムー課題の分離とは何か

「よかれと思って」のメカニズムー課題の分離とは何か

優しさや善意には私たちを助け、より良くしてくれるものと、反対に危険な状態に引き込み、その状態から抜け出せなくしてしまうものがある。

精神的に自立していない人間は自分と他人の区別がつけられないが、これによって他人に自分の幸福を押しつけたり、あるいは自分の不幸を他人に肩代わりさせようとする。

この問題は、アドラー心理学の代名詞となっている「課題の分離」という言葉によって説明される。課題の分離は、私

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左ききのエレン テキストネーム公開

左ききのエレン テキストネーム公開

ぼくは原作の時も、自分で作画までする時も、共通して「テキストネーム」を書きます。

いわゆる漫画のネームを描く前に、セリフだけの台本みたいな状態です。たぶんテキストネームを書いてる作家さんも少なく無いと思うのですが、あんまり表に出す機会も無いので、出してみます。

見所?は、最終的にカットしたセリフです。

カットした理由は様々ですが、単純に入りきらなかった、テンポを優先するため、意味が重複してい

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漫画家と契約の話

先日、ある新人漫画家さんから「連載を開始するにあたって、一般的な原稿料の相場や、必要な契約関係書類を知りたい」というご相談をいただきました。業界の常識がわからない状態で、どんなことをどこまでを出版社に要求していいのか知りたいようでした。
お会いして、僕なりにいろいろとお話させていただいたのですが、これから漫画家として活動をしていこうとする方々にとって必要な情報かと思いましたのでまとめてみます。

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ケシゴムの記憶(マンガについての雑文)

ケシゴムの記憶(マンガについての雑文)

昨日ツイッターで、『ケシゴムライフ』について、こんな感想をくれた方がいた。

すき間を埋めるための一言を踏み出す勇気、失敗してもいいから踊りを見せる勇気。その小さな勇気が境界線を繋がりに変えるのかなと感じました。
作品だけでなく後書きからも、羽賀さんの物の考え方が伝わってきて、温かい視点に感動しました。

この感想を読んで、あの短編群のテーマは「勇気」なのかもしれない、とあらためて考えるきっかけに

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