秋野ひろ

マンガ家。描きたいテーマのアーカイブに使ってます。

『フシのボタン(1万字)』

【男 Ⅰ】

 ちょうどよかった。
 癌の告知をされたときは、そう思った。
 今のおれにあるものを考えた。妻と娘がいた。大学を出てから働き続けている職場があった。だが妻子とは五年前から別居している。理由ももう忘れてしまった。きっと小さなすれ違いだろう。連絡の取り合いすらほぼ無く、家族というよりは血の繋がった他人に近かった。仕事には真面目に取り組んでいたが、それも真面目であるだけで、決して積極的では

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『I novel』(星新一風2次創作)

N氏の心の中には、いつも一冊の絵本があった。

昔、保育所で一度だけ読んだ本。主人公の冒険物語だ。
その内容はN氏の小さな世界を無限に広げた。綴られる言葉の1つ1つが、N氏の小さな胸を躍らせた。
それからの彼が経験した劇的な出来事は、全てその本に重ね合わせた。大きな岐路に立ったときは、その本の主人公になりきって選択を下した。
N氏はその六十余年の人生を、そうして歩んできた。特別華やかではなかったが

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とびだせ!落書き!!(絵)

先日「 #土曜絵画 」とハッシュタグを付けて載せてみたところ、絵に関しては、ツイッターよりnoteの方が多くの人に見てもらえることがわかったので、また過去の作品を上げます。

今回は「立体的に見せられるように頑張ったシリーズ」です。

手と消しゴム。消しゴムは普通の消しゴムです。

妖怪の図です。

中学生の頃描いた、登場人物が全て学校の先生のバトル漫画(恥ずかしくて高校に入ってから全て読めたこと

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『竹撮りの翁』(306字)

時は平成。竹取りの翁と呼ばれている者がおりました。野山に立ち入っては竹を取り、多くの竹細工を作っていました。
ある夕暮れのことです。翁は近いうちに誕生日を迎えるお婆さんの為に、上等な竹を探していました。切り倒した数本の竹を背負い、そろそろ帰ろうかと腰を上げたその時です。ふと前を見ると、なんとそこには光り輝く一筋の竹があるではありませんか。
翁はすぐにポケットからスマートフォンを取り出し、それを撮影

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【日記】屋上の賞味期限

高校生になれば、屋上には自由に出入り出来ると思っていた。ジャンプ漫画の中で何度も読んだ。だが現実は甘くはなく、立ち入る機会すら与えられなかった。
誰もが夢見て諦める。高校の屋上とはそういう場所ではないだろうか。
僕は今日、その屋上に登ることが出来た。これはその記録。苦難と勇気の物語である。

屋上に入る難しさを知ったのは1年の終わりの頃だったと思う。
体育の授業に一回分の空きが出来て、その時間をク

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昨日投稿した2作、文壇バー『月に吠える』主催の「人はなぜ本を返さないのか?文学賞」に応募したあと改稿したものです。
応募要項もすごく面白いので、是非見たあとで読んでみて下さい。
http://magazine.moonbark.net/information/nazehon/